健康によいことで注目を集めている発酵食品。味噌や醤油、納豆といった日本特有のものから、チーズやヨーグルトなど世界中で親しまれている食材もこの仲間です。さまざまな成分が含まれる発酵食品には、腸内環境を整える働きがあるといわれています。健康はもちろんのこと、お肌の鏡ともいわれるほど、腸は美容にも深く関係しています。今回は、発酵食品がもたらす整腸効果をご紹介します。

消化だけじゃない! 腸の働き

近年、腸に関する研究が進み、腸内環境が健康や美容に大きく影響することがわかってきました。その最大の理由は、全身の8割にもおよぶ免疫機能が腸に存在するということ。消化吸収を司る腸は、食べ物とともに外から入ってくる雑菌や病原菌などをシャットアウトする役割があります。そのほか、身体にとって必要な成分をつくり出す臓器であることも解明されています。リラックスホルモンと呼ばれるセロトニンや、代謝に欠かせないビタミンBの生成も腸の仕事です。 こうした腸の働きを支えているのが「腸内細菌」です。腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類が存在し、バランスを保ちながら、腸の活動をサポートしています。

腸内で攻防する3つの菌の働き

健康な腸は、善玉菌20%、悪玉菌10%、残りの70%が日和見菌という比率で腸内環境が整えられています。免疫機能の中心である善玉菌は、腸内を酸性に保つことで身体に害を及ぼす菌を排除する役目を担っています。また、ビタミンを生成するのも善玉菌にしかできないことだとか。 一方、悪玉菌はアルカリ性を好み、発がん性物質や毒素のある有害な物質を生成する厄介なものです。腸内腐敗を引き起こし、下痢や便秘の原因をつくることもわかっています。 腸内細菌の7割を占める日和見菌は、普段はどっちつかずの存在。しかし、ひとたび悪玉菌が増えると悪玉菌が日和見菌を取り込み、腸内環境のバランスを大きく崩してしまうそうです。

美容と健康のカギは「腸内細菌」にあった!?

腸内環境が正常に保たれている腸では、善玉菌が優勢に働いています。ところが、偏った食事や運動不足、ストレスなどが重なると、腸は悪玉菌の温床になってしまうのです! 免疫力や消化力も落ちるため、代謝に必要な栄養素も吸収されにくくなります。このような状態が続くと、老廃物が体内に滞り、便秘や肌荒れ、むくみ、体調不良を引き起こすとされています。 腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やすことがポイント。そこでカギをにぎるのが発酵食品です。

体調に合わせて発酵食品を選ぼう

発酵食品には、腸で有益な作用を発揮する微生物が含まれています。代表的なものに、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌、乳酸菌があります。なかでも注目したいのが、ぬか漬けやキムチなどに含まれる植物由来の乳酸菌。漬け物にすることで、もともと野菜についていた乳酸菌や酵母菌が増殖し、より濃度の高い乳酸菌へと変化します。漬け物は酸性が高いことから胃酸にも強く、生きたまま腸に届くといわれています。 腸内環境を良い状態に保つためには、継続して摂取することが大切。発酵食品は、身体の調子や悩みに合わせて選ぶことで効果を発揮します。いくつか具体例をご紹介しましょう。

イライラしたときはヨーグルト

ストレスによって悪玉菌が増えると、抵抗力が低下し、ストレスに弱い体質になってしまうと言われています。イライラが続くときには、カルシウムも同時に摂ることができるヨーグルトがおすすめ。1日の摂取量は300g程度を目安にするとよいでしょう。

便秘解消にはぬか漬けパワーを注入!

ぬかの原料は、玄米を精米するときに取り除かれる皮と胚芽部分。その中にはビタミンB1やマグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。また、発酵食品であるぬかには乳酸菌もいっぱい。ぬかに漬かった野菜は、栄養分を吸収するだけでなく、もともと持っている栄養価を7倍以上まで増やすといわれています。野菜の食物繊維と乳酸菌のダブルパワーで、便秘解消にもつながります。ぜひ毎日の食事に取り入れてみてくださいね。

美容効果に期待大、納豆のすごいパワー

納豆の原料である大豆には、女性ホルモン「エストロゲン」によく似たイソフラボンが含まれています。エストロゲンは、肌や髪の代謝を促し、女性らしいボディラインを整えてくれるもの。大豆発酵食品を積極的に摂ることで、美容効果が期待できます。

発酵食品で内側からキレイを目指そう

美容や健康にうれしい効果をもたらす発酵食品。ポイントは毎日コツコツ摂ることです。幸いにも、わたしたち日本人は、味噌や納豆、ぬか漬けをよく食べる習慣があります。高カロリーな食事やジャンクフードはできるだけ避け、昔ながらの和食を食べることが腸内環境を正常化させる近道だといえるかもしれません。これを機に、食生活や、ストレスをためない生活を見直してみてはいかがでしょうか。 参考: